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余りにも私がおかしいので救急車を呼んだこともあったそうだ。しかし、隊員たちも、

「どこに回して良いのか分からない」

 そう言って、引き揚げたそうだ。




 病院への記録を見ると、

二千十七年の六月二十四日に、「みどり病院」に行っている。六月二十八日に、「きわ病院」に行き

「精神運動興奮状態」と記録されている。推定入院「六月二十八日~九月十九日」そう書かれている。

 しかし、その後で、六月二十八日~六月三十日までの間に藍山病院への入院記録が残っている。





二つの病院に同時に入院出来る筈もなく、詳しく聞きたいのだが、妻も娘達も、慌てていたので、はっきりとは分らないと言う。察するに「きわ病院」では、治療を断ったのだろう。その日のうちに違う病院に移されたようだ。




しかし、その時の状態は大変なようだった。私は栄養も取ることが出来なくて、特殊な栄養の取り方をしていたらしい。胃に穴をあけて、栄養を与える方法を胃漏というらしい。尤もその胃漏については、私はガンになった時から、常に子供達に頼んでいた。





「胃漏だけはしてくれるな。自分で栄養を取れなくなってまで生きたくはない。どんなことがあっても胃漏だけは拒否して欲しい」

その胃漏らしい手術を受けていたらしい。詳細は今もってわからない。ともかく、自分で栄養を取ることが出来なかったらしいのだ。




その時には、妻は何も言えずに、

「子供達が決めてほしい」

そう言ったそうだ。





次女によれば、

「胃漏ではなかった。それは私も何度もお医者さんに尋ねた『胃漏ではないですね』そう何度も確認したのよ『胃漏と似ているけれど胃漏ではない』そう医師は言ったのよ。胃漏なら断っていた。パパの明確な意思を無視することは出来なかった。胃漏に似ているけれども、胃漏ではない。そう聞いたから、それをしなければパパは死んでしまう。それで決断したのよ。パパを死なせたくなかったから」





三人の娘は日頃から断っていた胃漏ではないけれども、胃漏に近いものみたいでそれで同意したのらしい。理由は唯一つ、少しでも可能性を、生きる可能性を探ってくれていたそうだ。

ともかく、すっかり脳が侵されて、三人の娘達も

「パパはもう元には戻らない。精神はおかしいままだ」

そう覚悟した上で、胃漏に近い何かをしてくれたらしいのであった。





三人は合意の上で同意書にサインしたそうだ。今生きているのは娘達のおかげである。あまり良い父親とは思えないだけに娘達に感謝である。

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