実は日本の医療は先進国で最低だ

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その小学生が中学生に進級すると、例のプリントも必要になる。当時はワープロを使っていたが、教科書の改訂に合わせて内容をフィロッピーに記録して必要に応じて、改善していた。

ずっと以前に、お笑いで大成功して、次第にテレビに出なくなった人が紹介されていた。その人は何とか芸人に復活しようとしていた。それを待て、私は思ったものだった。

「馬鹿だなあ。時代が変わっているのに気が付かないのだろうか」

　そう思ったものだった。しかし、その時の私はもっと馬鹿だった。何度も長期に休んでいた私の塾に生徒が集まる筈もなかった。

寧ろ、場所を変えて、一から始めた方がたとえわずかでも、可能性が残ったかもしれなかった。大事な受験期に長期に休み、その後も、二度も長期の休みを取って、大事な子供を通わせる親がいた筈がなかった。来ていた小学生の親もきっと思っていたことだろう。

「小学生の内はこの塾でも良いけれど、中学生になると、塾を変えなくてはいけないわね。大事な受験期に休まれると大変だから」

しかし、当時の私には、その当たり前のことが思いもつかなかった。生徒が一人でも続けている限り可能性はあると信じていたのだ。

私が馬鹿だと思っていた元の売れっ子芸人の方が、むしろ、可能性があっただろう。今になればどうして気が付かなかったのか不思議でならない。現場で苦しんでいた私には客観的に物事が見えなかったのかもしれない。

そしていよいよ、その期待が空しく終わる時が来た。二千十五年の一月のことだった。小学五年生の生徒が私に言った。

「先生、今月で塾を止めます」

私はその言葉を聞いた時、何かが崩れるのを感じた。

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